大型トラックの運転中にスマートフォンを手に持って通話したり画面を見たりすると、反則金は25,000円で、普通車の18,000円より高く設定されています。ただ、会社にとって重いのは運転者本人の反則金だけではありません。運送事業の緑ナンバーか自家用の白ナンバーかで、会社の責任を問う仕組みが別々に用意されています。この記事では、運転者に科される罰則と、会社側にかかる二つの仕組みを、警察庁・国土交通省・内閣府の公表資料に沿って整理します。
根拠となる制度・法令
運転中のスマートフォン使用を禁じているのは道路交通法第71条第5号の5です。自動車が停止しているときを除き、手で保持しなければ送受信できない携帯電話などを通話に使うこと、そして車に取り付けたり持ち込んだりした画像表示用装置の画像を注視することを禁じています。トラックでも乗用車でも条文は同じです。違いが出るのは反則金の額です。
警察庁の公表資料による罰則・反則金・基礎点数は次のとおりです。
| 区分 | 罰則 | 反則金 | 基礎点数 |
|---|---|---|---|
| 携帯電話使用等(保持) | 6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 | 大型車 25,000円 普通車 18,000円 二輪車 15,000円 原付車 12,000円 | 3点 |
| 携帯電話使用等(交通の危険) | 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 適用なし | 6点 |
「保持」は反則金を納めれば刑事手続きに進まない反則行為です。これに対し、ながらスマホで交通の危険を生じさせた「交通の危険」には反則金の制度がなく、すべて刑事罰の対象になり、6点で一度に免許停止の対象になります。警察庁の表は「大型車」「普通車」などの区分で示されているため、中型・準中型のトラックがどの区分で扱われるかは、反則告知を受けた際の区分で確認してください。罰則と点数の全体像や2019年12月の厳罰化前後の比較はながらスマホの罰則。違反点数・反則金・拘禁刑を条文と警察庁資料で確認するにまとめています。
車体が大きく重いトラックでは、目を離す時間の危険がそのまま大きくなります。警察庁は、時速60キロで走る車は2秒間に約33.3メートル進むと示しています。画面を2秒見る間に、前の車の停止や歩行者の横断に気づけない距離です。
緑ナンバーと白ナンバーで異なる会社の責任
運転者の罰則は道路交通法で共通ですが、会社側に向く仕組みはナンバーによって二つに分かれます。
| 緑ナンバー(事業用・運送事業) | 白ナンバー(自家用) | |
|---|---|---|
| 主に関わる行政 | 国土交通省(地方運輸局等) | 都道府県公安委員会・警察 |
| 会社側の仕組み | 監査と行政処分。処分は過去5年分が公開される | 安全運転管理者の選任と運転者への指導 |
緑ナンバーの運送事業者に対しては、地方運輸局長等が行政処分を行い、国土交通省は過去5年間の処分情報を「事業者の行政処分情報検索」で公表しています。処分の種類としては、輸送の安全確保命令、事業改善命令、自動車その他の輸送施設の使用停止処分、事業停止処分、許可の取り消し処分、文書警告などが並び、違反点数でも検索できます。荷主や利用者が運送会社を選ぶ参考情報として公開されている、と同ページは説明しています。個々の違反にどの処分が当たるかは、同サイトの「行政処分の基準」で確認できます。
内閣府の令和8年版交通安全白書によれば、国は悪質違反を犯した事業者や重大事故を起こした事業者への監査を徹底し、法令違反が疑われる事業者には重点的・優先的な監査を行っています。令和8年3月には「事業用自動車総合安全プラン2030」が策定され、令和12年までに事業用自動車の事故による24時間死者数を225人以下にする目標が掲げられています。
白ナンバーのトラックを使う会社で会社側の仕組みの中心になるのは、安全運転管理者制度です。一定台数以上の自動車を使う事業所には道路交通法で安全運転管理者の選任が義務づけられています。選任の基準や業務は安全運転管理者とは。選任の基準・9つの業務・罰則を条文で確認するで解説しています。
事業者が満たすべき条件
国土交通省は平成28年11月7日、事業者団体に対し、乗務中の携帯電話による通話やスマートフォンの操作の禁止を改めて徹底するよう通知しました。貸切バスの運転者が運転中にゲームアプリを操作した事案を受けたもので、同じ発表では、同年10月26日に愛知県一宮市でゲームアプリを操作しながら走行していた自家用トラックに小学生がはねられ死亡した事故にも触れています。事業用か自家用かを問わず、トラックのながらスマホが極めて危険な行為であることに変わりはありません。

条文と公表資料から、会社が運転者に守らせる条件は次のように整理できます。
- 走行中は、手に持った状態で通話しない。着信に出る必要があるときは、安全な場所に停車してから折り返す
- 走行中は、スマートフォンやナビの画面を注視しない。ホルダーに固定していても、注視して交通の危険を生じさせれば「交通の危険」に当たる
- 乗務前に電源を切るか、ドライブモードにして呼出音が鳴らないようにする。警察庁が交通の方法に関する教則として示している内容です
ここまでが条文と公表資料に基づく内容です。社内の運用としては、この3点を乗務規程や車両管理規程に明記し、点呼や安全運転管理者の指導の場で繰り返し伝えることをおすすめします。
運用上の注意
警察庁によると、令和7年中の携帯電話等使用による死亡・重傷事故は148件で、令和3年以降は増加傾向にあります。携帯電話等を使用していた場合の死亡事故率は、使用なしと比べて約3.4倍です。取締りは年間約18万件で、取締り全体の約4.5%を占めます。
トラック運転者の場合、3点の違反を重ねれば累積で免許停止に至り、その間は乗務できません。「交通の危険」の6点なら一度で免許停止の対象です。運転者が1人欠けるだけで配車が回らなくなる会社にとって、ながらスマホは罰金の問題である前に、運行を止める要因になります。
もう一つの注意は、配送の現場ほど「電話に出ないと仕事が止まる」という事情が強いことです。荷主や配車担当からの着信に走行中でも応えたくなる状況が続く限り、規程に書くだけでは守られにくくなります。着信に出なくても業務が止まらない連絡の流れを、会社の側で用意しておくことが欠かせません。
monap での対応
monap は、業務用スマートフォンにインストールするだけで運転を自動検知し、一定の速度を超えると画面操作を自動でロックする法人向けアプリです。第71条第5号の5が禁じる「走行中の注視」と「手に持った通話」を、運転者の意識ではなく端末側の仕組みで止めることを目的にしています。
ロック中に着信があると、相手が携帯電話の場合は「移動中」であることをショートメッセージで自動返信します。荷主や配車担当には移動中であることが伝わるので、走行中に電話を手に取る理由を減らせます。たとえば配車担当の番号だけをホワイトリストに登録して通し、荷主からの着信には自動返信で応え、停車後に折り返す、という運用を組めます。Bluetooth 機器を接続しているときのハンズフリー着信を許可するかどうかも管理者が決められます。停車中は通常どおり操作できるため、「安全な場所に停車してから使う」を運用に落とし込めます。アプリが制限するのはロック作動中の画面操作で、設定速度未満の低速時の操作や、ロック画面を目で追うこと自体までは防げません。停車場所の安全の確認とあわせて、運転者への指導は引き続き必要です。
導入の条件は、初期費用 0 円・専用端末不要・最短 7 日で運用開始。数十台から千台規模まで導入実績があり、台数の多い運送会社でも、白ナンバーのトラックを数台使う会社でも同じ仕組みで使えます。ロック開始速度やハンズフリーの許可はクラウドの設定で管理者が一括で変更できるので、まず一部の車両で試してから広げることもできます。
