monap トップに戻る

ホルダーに固定したスマホのナビは違反か。「注視」の境界と2秒の目安を条文と警察庁資料で確認する

読了 約9分

「ホルダーに固定したスマホのナビは違反か」というコラムの見出し画像

「スマートフォンをホルダーに固定して、ナビとして見るのは違反ですか」。社用車のルールを作るとき、手に持つ・持たないの次に必ず出てくる質問です。手に持っていなければ問題ない、と考えている人は少なくありません。

結論から言うと、ホルダーに固定しているかどうかは、この問題の決め手ではありません。道路交通法第71条第5号の5は、手に持った通話とは別に「取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」を定めています。固定したスマートフォンもカーナビも、走行中に画面を注視すれば同じ号の対象になります。では、どこからが「注視」なのか。この記事では、条文と警察庁の公表資料で書かれていることと書かれていないことを分けて整理し、社用車でナビを使うときのルールの書き方までまとめます。

固定したナビ画面が対象になる制度上の根拠

禁止行為を定めているのは道路交通法第71条第5号の5です。警察庁が掲載している条文は、自動車・原動機付自転車・自転車を運転する場合について、停止しているときを除き、次の2つを禁じています。

  • 手で保持しなければ送信も受信もできない無線通話装置を、通話のために使用すること
  • 当該自動車等に「取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置」に表示された画像を注視すること

後半の注視の規定には、手で持っているかどうかという要件がありません。ダッシュボードやエアコン吹き出し口のホルダーに固定したスマートフォンは「持ち込まれた」装置、車に備え付けのカーナビは「取り付けられた」装置に当たると読むのが自然で、どちらも走行中の注視は禁止の対象です。対象になる行為の全体像はながら運転とは。対象になる行為・違反の境界・事故統計を警察庁資料で整理するにまとめています。

画面の注視について、条文の除外は2つです。ひとつは停止しているとき(信号待ちの扱いは信号待ちのスマホは違反かで整理しています)。もうひとつは、括弧書きで名指しされた道路運送車両法第41条第1項第16号・第17号、第44条第11号に規定する装置の画面です。カーナビやスマートフォンの画面が一般に除外されているわけではありません。警察庁が掲載している交通の方法に関する教則も、走行中は「カーナビゲーション装置などに表示された画像を注視したりしてはいけません」と明記しています。

つまり、ナビとして使っていること自体も、ホルダーで固定していること自体も、違反になるかどうかを決める要素ではありません。問われるのは、走行中に画面を「注視」したかどうかです。

どこからが「注視」か。2秒の目安の位置づけ

条文は「注視」という言葉を使っていますが、何秒見たら注視になるかという数値は条文には書かれていません。ここは誤解の多いところです。

よく引かれる「2秒」は、違反かどうかの法定基準ではなく、警察庁が危険性の目安として示している数字です。警察庁は、運転者が画像を見ることで危険を感じる時間は運転環境によって異なるとしたうえで、各種の研究報告によれば「2秒以上見ると運転者が危険を感じるという点では一致しています」と説明しています。

2秒の間に車がどれだけ進むかも、同じページで示されています。時速60キロで走行した場合、2秒間で約33.3メートル進みます。その間に歩行者が道路を横断したり、前の車が渋滞などで停止していたりすれば、事故を起こす可能性がある、というのが警察庁の説明です。

この目安を社内で使うときは、2つの読み違いに気をつけてください。

  • 「2秒未満なら違反にならない」とは書かれていない。 警察庁が示しているのは、2秒以上見ると危険を感じるという研究上の一致点です。短い確認なら問題ないという線引きではありません
  • 1回ごとの長さだけが問題ではない。 短く見る動作でも、そのたびに視線は前方から外れます。画面を何度も見返す運転が安全だという根拠にはなりません

JAF が教習所のコースで行った検証(2016年)では、メールアプリやゲームアプリを使いながら走行したモニターの視線は、スマートフォンの画面と前方の狭い範囲しか確認しておらず、横から飛び出したボールに衝突する、信号を見落として赤信号で通過するといった結果が出ています。これはナビではなくメールやゲームの操作を伴うテストですが、画面に意識が向くと前方の確認範囲が狭くなることを示しています。

注視が問題になる局面。ナビの使い方ごとに整理する

運転席の後ろから見た車内。運転者は両手でハンドルを握って前方の道路を見ており、エアコン吹き出し口のホルダーにスマートフォンが固定されている
ナビは「見るもの」より「聞くもの」として使うほど、視線を前方に残しやすい

ナビの使い方と、条文との関係を並べると次のようになります。違反かどうかの最終的な判断は個別の状況によるため、ここでは条文の読み方として示します。

走行中のナビの使い方第71条第5号の5との関係
出発前に目的地を設定し、走行中は音声案内だけを聞く画面を注視していなければ、注視の規定には当たりにくい
分岐の手前などで画面に目をやり、すぐ前方に戻す条文上の秒数基準はない。見る回数・長さによっては注視の問題になり得る
地図を見続けて道を探す画面を見続けており、注視に当たるおそれが高い
走行中に目的地を入力し直す・地図を操作する画面を見続けることになり、注視に当たるおそれが高い。手に取れば保持の問題も加わる

条文の罰則は、手に持って通話・注視した「携帯電話使用等(保持)」と、第71条第5号の5に違反して交通の危険を生じさせた「携帯電話使用等(交通の危険)」の2つに分かれています。押さえておきたいのは、ホルダーに固定したナビの注視で交通の危険を生じさせれば、手に持っていなくても後者の問題になり得る点です。警察庁の資料では、交通の危険は反則金の適用がなく、基礎点数は6点です。金額・点数の一覧と各類型の条文番号はながらスマホの罰則。違反点数・反則金・拘禁刑を条文と警察庁資料で確認するで確認できます。

事業者が満たすべき条件

社用車でナビを使う会社が、規程に書いておくべき条件を整理します。

  • ナビの操作は出発前に済ませる。 目的地の設定やルートの確認は、出発前か安全な場所に停車した状態で行うと明記します。警察庁は、運転中にどうしてもスマートフォンなどを使わなければいけないときは「必ず安全な場所に停車してから使用してください」としています
  • 走行中は音声案内を基本にする。 「画面は見ない」と書くだけでなく、実行の手順も併記します。音声案内をオンにする、分岐の手前で画面を確認し直さなくて済むよう出発前にルートを頭に入れる、といった具体的な手順とセットで書きます
  • ホルダーの位置を決める。 固定する位置によって、画面に視線を移す量は変わります。運転操作の妨げにならない位置と、固定の方法を車両ごとに決めておきます
  • 「ナビだから大丈夫」を例外にしない。 ナビとして起動していても、同じ端末には通知もメッセージも届きます。ナビ用途の端末を走行中にどこまで使ってよいかを、通知の扱いまで含めて決めます
  • 2秒の目安の扱いを誤らない。 規程や研修で2秒に触れるなら、「2秒以上見ると危険を感じるという研究上の目安」として伝え、「2秒未満なら可」と読める書き方をしないようにします
  • 安全運転管理者を置く事業所では、指導項目として位置づける。 選任の基準や法定業務は安全運転管理者とは。選任の基準・9つの業務・罰則を条文で確認するにまとめています

運用上の注意

「ホルダーに固定すればよい」と周知しない。 ホルダーの導入は手に持つ通話・操作を減らす効果はあっても、注視の規定を外れる理由にはなりません。ホルダーを配ることだけを対策として伝えると、固定していれば見てよいという誤解につながるおそれがあります。

事故の多くは前方不注意につながっている。 警察庁によると、携帯電話等使用による死亡・重傷事故の人的要因は前方不注意が約9割を占めます。ナビの画面も、見ている間は前方から視線が外れているという点では同じです。件数や死亡事故率の推移はながらスマホの罰則にまとめています。

自転車を業務で使う場合も同じ条文が働く。 第71条第5号の5は自転車も対象で、自転車にスマートフォンを固定してナビに使う場合も、走行中の注視は同じ問題になります。自転車の罰則強化の内容は信号待ちのスマホは違反かの運用上の注意で触れています。

規程だけでは守られにくい。 通知が鳴れば目がいくのは自然な反応です。走行中に画面を見に行く理由そのものを減らせるかどうかが、実務上の分かれ目になります。

monap での対応

monap は、業務用スマートフォンにインストールするだけで運転を自動検知し、管理者が設定した速度を超えると画面操作を自動でロックする法人向けアプリです。抑止はナビに限らず、どのアプリの上でも動作します。ナビアプリを開いたまま走り出しても、地図アプリや検索アプリに切り替えても、抑止中は画面の赤枠(または全画面)で「今は触れない」ことを運転者に知らせます。走行中にナビの目的地を入力し直す、地図を操作して道を探す、といった「画面を見続ける」操作の動線を、端末の側で止める仕組みです。

抑止中は通知も遮断します。ナビとして使っている端末にメッセージの通知が届き、それを見に行くという流れを減らせます。停車中は、ナビも検索も通常どおり操作できます。目的地の設定は停車してから行う、という規程の条件と同じ建て付けです。

ただし、判定は速度で行うため、発進した直後のごく低速の間などは抑止の対象に入らないことがあります。また、画面を「見る」こと自体は、アプリでは止められません。音声案内を基本にする、出発前にルートを確認しておくといった運用は、規程と研修で補う必要があります。monap が担うのは、走行中に画面を操作する・通知を見に行くという、注視につながりやすい動線を減らす部分です。まずは自社で使っているナビアプリと端末の組み合わせで、抑止時の表示、抑止中のナビの音声案内の聞こえ方、停車後の解除の挙動を確かめていただけます。

まとめ

  • 道路交通法第71条第5号の5は、手に持った通話とは別に、取り付けた・持ち込んだ画像表示用装置の画像の注視を禁じている。ホルダーに固定したスマートフォンも、備え付けのカーナビも対象
  • 何秒見たら注視かは条文に書かれていない。「2秒」は警察庁が示す危険の目安で、2秒未満なら可という線引きではない
  • 時速60キロでは2秒間に約33.3メートル進む。ナビの画面も、見ている間は前方から視線が外れる
  • 社用車の規程では、ナビの操作は出発前か停車中、走行中は音声案内を基本とし、通知の扱いまで決めておく

出典

  1. 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html/2026年9月25日 取得
  2. e-Gov 法令検索(道路交通法)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105/2026年9月25日 取得
  3. JAF「運転中の『ながらスマホ』(JAFユーザーテスト)」https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/mobile-phone/driving/2026年9月25日 取得

関連する記事

コラム一覧へ戻る