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ドライバーモニタリングシステム義務化で変わること。2031年の新型車から始まる「脇見の検知」と、いまの社用車に要る備え

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「ドライバーモニタリングシステム義務化で変わること」というコラムの見出し画像

運転中の脇見や居眠りを車が見張り、警告する装置の搭載が義務になります。時事通信の2026年8月24日の報道によると、国土交通省は「ドライバーモニタリングシステム(DMS)」の搭載を国産車と輸入車に義務づける方針を固め、2031年から新型車に適用するとしています。では、DMSは何を検知し、何を検知しないのか。いま使っている社用車には何が求められるのか。この記事では、報道と警察庁・内閣府の資料に沿って、DMSの定義から社用車での考え方までを整理します。

ドライバーモニタリングシステム(DMS)の定義

DMSは、運転者の状態を車が監視し、危ない兆候があれば知らせる装置です。国土交通省の説明として報じられた内容では、車内カメラなどで運転者の視線やまぶた、ハンドルの動きなどを検知し、異常があれば警報音やハンドルの振動で知らせます。対象は、スマートフォンを操作しながらの脇見運転と、居眠り運転です。

ここで押さえておきたいのは、DMSが見ているのは「運転者の目と体の状態」だという点です。スマートフォンそのものを止める装置ではありません。この違いは、後の節で社用車の対策を考えるときに効いてきます。

義務化の時期と対象

報道された方針の骨格は次のとおりです。

時期内容
2026年3月日本も参画する国連の自動車基準調和世界フォーラムで、DMSの新しい国際基準が採択
2026年9月国際基準の発効に合わせ、道路運送車両法の保安基準を改正(8月の報道時点では予定)
2031年新型車に搭載を義務づけ
2033年既存モデルの継続生産車にも搭載を義務づけ

対象は国産車と輸入車の両方です。報道では、欧州ではすでに販売車への搭載が義務化されていること、国内メーカーも実用化していることにも触れています。義務を負うのは、車をつくって売る側です。報道された方針の対象は新型車と継続生産車で、すでに走っている車への後付けは挙がっていません。

脇見を検知する仕組み

報道によると、義務化の要件は速度と秒数で決められています。

対象作動する条件
脇見運転時速20〜50キロ:前方から視線を6秒間そらしたとき
時速50キロ以上:前方から視線を3.5秒間そらしたとき
居眠り運転時速70〜130キロで、一定の水準の状態を検知したとき

速度が高いほど、短い秒数で警告する設計です。ただし、秒数を距離に直すと見え方が変わります。単純に計算すると、時速40キロで6秒間に進む距離は約67メートル、時速60キロで3.5秒間なら約58メートルです。

一方、警察庁は、運転者が画面を見て危険を感じる時間は運転環境により異なるとしつつ、各種の研究報告では2秒以上見ると危険を感じる点で一致していると紹介しています。そのうえで、時速60キロなら2秒間で約33.3メートル進むと示しています。つまり、DMSの警告が出る前の数秒間にも、事故の危険はあるということです。DMSは脇見を防ぐ装置というより、長すぎる脇見を打ち切らせる最後の安全網と捉えるのが実態に近いでしょう。画面を見る時間と進む距離の関係はながら運転とはの記事でも解説しています。

検知の範囲にも注意が要ります。欧州交通安全評議会(ETSC)は2023年1月、欧州で義務化が決まっていた脇見警告装置の技術仕様の草案について、膝や足元への長い視線しか検知せず、ダッシュボードに取り付けたスマートフォンや画面への視線を検知しないと欧州委員会に懸念を伝えています。日本の要件で検知する視線の向きがどう定められるかは、報道からは読み取れません。社用車の対策を考えるときは、細かな仕様が公表されるまで「すべての脇見を検知する」と前提を置かないのが無難です。

スマホ対策の他の方式との違い

運転中のスマートフォン操作を減らす手段は、DMSだけではありません。仕組みで防ぐ方式を並べると、違いは「いつ効くか」に表れます。

車内で、ハンドルの奥に取り付けた小さなカメラが運転者の方を向き、運転者が両手でハンドルを握って前を見ているイラスト
DMSは運転者の視線や顔の向きを見て、長い脇見や居眠りに警告します
方式何を見るかいつ効くか主な対象
車載のDMS(2031年から新型車に義務化)運転者の視線・まぶた・ハンドルの動き視線が一定時間外れたあとに警告2031年以降の新型車、2033年以降の継続生産車
後付けのカメラ型(AIドライブレコーダーなど)車内カメラの映像操作や脇見を検知したあとに警告・記録機器を取り付けた車
アプリ型(端末の操作制限)端末の移動速度設定した速度を超えると画面操作を制限するアプリを入れた端末

DMSとカメラ型は、脇見が起きたことを検知してから知らせる「事後の警告」 です。居眠りや、スマートフォン以外を見る脇見にも対応できる点は、アプリ型にはない強みです。アプリ型は、設定した速度を超えると画面操作を制限する「事前の制限」 です。そのかわり、設定した速度より遅いときの操作や、スマートフォン以外の脇見、居眠りには効きません。どれか一つで足りるのではなく、防ぎたいことに応じて組み合わせる関係です。

社用車ではどう使われるか

社用車の運用で、まず押さえておきたいのは時期です。2031年の義務化は新型車からで、継続生産車への拡大も2033年です。入れ替えの周期を考えると、手元の社用車にDMSがそろうまでには年単位の時間がかかります。その間も、ながらスマホの事故は待ってくれません。

警察庁によると、携帯電話等の使用による死亡・重傷事故は令和3年以降増加傾向にあり、携帯電話等を使用した場合の死亡事故率は、使用していない場合の約3.4倍です。内閣府の令和8年版交通安全白書でも、令和7年の交通死亡事故を法令違反別にみると安全運転義務違反が約半数を占め、中でも漫然運転、運転操作不適、脇見運転、安全不確認が多いとされています。

運転中に手で持って通話することや、画面を注視することを禁じているのは道路交通法第71条第5号の5です。DMSは脇見に気づかせてくれる役立つ仕組みですが、ながらスマホをしないという運転者の義務は、DMSがあっても変わりません。罰則の中身はながらスマホの罰則の記事にまとめています。

いまの社用車での考え方は、次のように整理できます。

  • 新しく入れる車。DMSが付いていれば、長い脇見と居眠りへの安全網が一つ増えます。ただし、警告が出るのは視線が外れてから数秒後です
  • すでに使っている車。義務化の対象ではないため、会社が自分で手段を選ぶ必要があります。後付けのカメラ型か、アプリ型か、その組み合わせです
  • どちらの車でも。ルールと教育は欠かせません。内閣府の白書でも、先進安全自動車について、技術への過信による事故を防ぐため技術の限界や使用上の注意点の理解を促す広報啓発が挙げられています

ルール・教育・仕組みの組み立て方は社用車のながらスマホ対策の記事で、ホルダーに固定したスマートフォンの法律上の扱いはスマホホルダーとナビの記事で確認できます。

monap での実例

monap は、前の表でいうアプリ型にあたる法人向けアプリです。業務用スマートフォンにインストールしておくと運転を自動で検知し、一定速度を超えると画面をロックします。DMSが「視線が外れてから警告する」のに対し、monap は一定速度を超えた走行中に、スマートフォンを操作できない状態を先につくります。スマートフォンの操作による脇見については、起きる前に減らす側の手段です。

既存の社用車での対策として選ばれる理由は、車に手を入れない点にあります。monap は初期費用0円・専用端末不要です。車に機器を取り付けないため、車種や年式を問わず、入れ替え前の車でも同じように運用できます。申し込みから最短7日で運用開始でき、導入実績は数十台の会社から千台規模まであります。

DMSが標準になるまでの数年間をどう埋めるかは、多くの会社に共通する課題です。たとえば「新車はDMSで長い脇見と居眠りに備え、すべての業務用スマートフォンには monap を入れて走行中の操作を止める」というように、車の安全網と端末の制限を重ねる形が考えられます。いま使っている社用車のながらスマホ対策の一つとして、まずは自社の業務用端末でお試しください。

出典

  1. 時事通信「ながら・居眠り運転、検知義務化へ 31年新型車に適用、国交省方針」(2026年8月24日)https://www.jiji.com/jc/article?k=2026082400526&g=eco/2026年10月21日 取得
  2. European Transport Safety Council「Mandatory distraction warning systems won't detect most important types of distraction」(2023年1月20日)https://etsc.eu/mandatory-distraction-warning-systems-wont-detect-most-important-types-of-distraction//2026年10月21日 取得
  3. 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html/2026年10月21日 取得
  4. 警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R07bunseki.pdf/2026年10月21日 取得
  5. 内閣府「令和8年版 交通安全白書」第1編第1部https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r08kou_haku/pdf/zenbun/1-1.pdf/2026年10月21日 取得
  6. e-Gov 法令検索(道路交通法)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105/2026年10月21日 取得

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