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社用車のながらスマホ対策は「仕組み」で決まる。責任を確かめ、ルール・教育・仕組みの3層で組み立てる

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「社用車のながらスマホ対策」というコラムの見出し画像

社員の運転中のスマートフォン操作を、会社としてどう防げばよいのでしょうか。多くの会社がまず取り組むのは、朝礼での注意喚起や「運転中はスマホ禁止」という社内ルールです。どちらも欠かせませんが、ルールと注意喚起だけでは、走行中の一瞬の操作までは止められません。この記事では、会社が負う責任の範囲を確かめたうえで、対策を「ルール」「教育」「仕組み」の3層に分けて整理し、導入時に決めておくことと業種ごとの勘所までを、道路交通法と警察庁・国土交通省・内閣府の資料に沿ってまとめます。

社用車のながらスマホ対策とは。会社が負う範囲を先に確かめる

ここでいう対策とは、業務で車を運転する社員が、走行中にスマートフォンで通話したり画面を注視したりしない状態を、会社として保つことです。運転中に、手で持たなければ送受信できない携帯電話で通話することや、車に取り付けた・持ち込んだ画面を注視することを禁じているのは道路交通法第71条第5号の5で、車が停止しているときは除かれます。警察庁の資料では、手に持って通話・注視する「保持」は6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金(普通車の反則金18,000円・基礎点数3点)、交通の危険を生じさせた場合は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(基礎点数6点)です。

罰則を受けるのは運転者本人ですが、会社が無関係でいられるわけではありません。道路交通法は、業務で運転させる会社に安全運転を守らせる努力を求め、一定台数以上の車を使う事業所には安全運転管理者の選任を義務づけています。会社に向く刑事・行政の責任はながらスマホ事故と会社の責任の記事、民事の賠償責任は社用車の事故と会社の責任の記事、選任の基準と業務は安全運転管理者の記事にまとめています。責任の所在を確かめるのは、対策の出発点にすぎません。この記事では、その先の「どう防ぐか」を扱います。

意識だけでは止まらない理由を数字で見る

警察庁の「令和7年における交通事故の発生状況について」によると、携帯電話等の使用による死亡・重傷事故は近年増加傾向にあり、令和7年中は148件でした。令和3年〜7年の合計では、使用時の死亡事故率は使用していない場合の約3.4倍です。

同じ期間の携帯電話等使用による死亡・重傷事故を人的要因で分けると、前方不注意が539件で91.8%を占めます。使用時の91.8%は、使用していない場合(26.9%)の約3.4倍です。スマホを使うと事故の原因が「前を見ていない」に偏ります。画面を見る時間と進む距離の関係はながら運転とはの記事で解説しています。

取締りも続いています。令和7年の携帯電話使用等の取締りは約18万件で、取締り全体の約4.5%です(警察庁)。2019年12月の罰則引き上げ後も取締りが続くなかで、事故は増加傾向にあります。そこでこの記事では、運転者の意識に加えて、仕組みで支える対策を提案します。

対策の分類。ルール・教育・仕組みの3層

会社が打てる手は、大きく三つに分類できます。

白い社用車の運転席で、ホルダーに固定された画面に鍵のマークが出たスマートフォンの横で、運転者がハンドルを両手で握っているイラスト
運転者の意識に頼らず、端末の側で操作できない状態をつくるのも「仕組み」の一つです
層中身強み弱み
ルール運転中の使用禁止、停車してから使う、運転前にドライブモードにする費用がかからず、全員に同じ基準を示せる守られたかを会社が確かめにくい
教育危険性の説明、事故事例の共有、個別の指導運転者が理由を理解できる効果が人と時期によってばらつく
仕組みアプリ型:設定した速度を超えると端末の画面操作を制限する
カメラ型:車載カメラで操作を検知し、警告・記録する
本人の意識に左右されにくい端末や機器の準備と、例外の扱いを決める運用が要る

ルールの土台になるのは警察庁が示す交通の方法に関する教則です。運転前に電源を切るかドライブモードに設定して呼出音が鳴らないようにし、どうしても使う必要があるときは安全な場所に停車してから使うよう求めています。ドライブモードを運転者の手動設定で運用する場合は、設定忘れへの備えが要ります。

教育については、国土交通省が運送事業者向けに運転者の指導監督の指針を示しています。運行管理者は運転者に適切な指導と監督を行わなければならず、事故を起こした運転者には事故事例の分析に基づく再発防止策を指導します。貸切バスではドライブレコーダーの記録を使った指導も挙がっています。白ナンバーの会社にこの指針は直接かかりませんが、事実に基づいて個別に指導するという考え方は参考になります。

仕組みには、スマートフォンのアプリで端末の操作を制限する「アプリ型」と、車載カメラで操作を検知して警告・記録する「カメラ型」(AIドライブレコーダーなど)があります。

三つの層は代わりになるものではなく、重ねるものです。ルールで基準を示し、教育で理由を伝え、仕組みで守られる状態をつくる。この順に積むと、1層目と2層目の弱みを3層目が補います。

仕組みを導入するときに決めること

仕組みを入れる前に、次の点を社内で決めておくと運用が止まりにくくなります。

  • 対象の端末。会社支給の業務用スマートフォンに限るのか、私物端末の業務利用まで含めるのか
  • 対象の人と車両。社用車を運転する全員か、一定以上の走行がある部署からか
  • 停車中の扱い。法律上は停止中の使用は禁止されていませんが、信号待ちで使ってよいかは会社が決めます。境界は信号待ちのスマホの記事で確認できます
  • 通話とナビの扱い。ハンズフリー通話やホルダーに固定したナビをどこまで認めるか。ハンズフリー通話の記事とホルダーとナビの記事で法律上の線を確かめてから、社内の線を法律より厳しく引くかどうかを決めます
  • 記録の見方と指導の流れ。誰が、どの頻度で記録を見て、何があれば個別に指導するか

特に最後の項目は抜けやすい部分です。仕組みを入れても、記録を見る人が決まっていなければ指導につながりません。安全運転管理者が置かれている事業所なら、その業務の一部として位置づけると無理がありません。

業種別の勘所

  • 営業職の多い会社。直行直帰で顔を合わせる機会が少ないため、口頭の注意を補う手段として仕組みを検討します
  • 運送事業者(緑ナンバー)。運行管理者による指導監督の枠組みがすでにあるので、走行中の操作の記録を指導の材料に加えます
  • 訪問介護・訪問看護・設備保守など、移動が業務の一部の事業所。次の訪問先への連絡が多く、連絡は停車中にまとめる運用を先に決めておきます
  • 私物端末を業務に使う会社。業務用アプリを私物に入れることへの同意の取り方を、導入前に決めておきます

monap での実例

monap は、業務用スマートフォンにインストールするだけで運転を自動検知し、一定速度を超えると画面を自動ロックする法人向けアプリです。乗車時のアプリ起動は不要です。

3層の分類で見ると、monap は「仕組み」の層のうち、アプリ型にあたります。カメラ型が操作を検知して警告するのに対し、設定した速度を超えて走行している間は、画面操作そのものをできなくします。ドライブモードを手動で運用すると設定忘れへの備えが要りますが、monap は運転者の操作を待たずに走行を検知してロックをかけます。乗車時の操作を要しないことが、ルールと教育を補います。

導入時には、前の節で挙げた項目を monap の運用に置き換えて決めます。たとえば「対象は会社支給の端末から始める」「ロックを始める速度を拠点で揃える」「記録は安全運転管理者が月に1回見て、気になる端末の運転者と個別に話す」といった形です。記録を見る人と頻度を決めておくと、仕組みが指導につながります。意識に頼る対策を、仕組みで支える対策へ。社用車のながらスマホ対策を見直す際の選択肢として、まず自社の業務用端末でお試しください。

出典

  1. 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html/2026年10月7日 取得
  2. 警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R07bunseki.pdf/2026年10月7日 取得
  3. 国土交通省「運転者に対する教育」https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/instruction.html/2026年10月7日 取得
  4. 警察庁「安全運転管理者制度」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/index.html/2026年10月7日 取得
  5. 内閣府「令和8年版 交通安全白書」第1編第1部https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r08kou_haku/pdf/zenbun/1-1.pdf/2026年10月7日 取得
  6. e-Gov 法令検索(道路交通法)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105/2026年10月7日 取得

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