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安全運転研修でながらスマホは減るのか。「危ないと知っていても手が伸びる」を前提に、教育と仕組みを組み合わせる

読了 約7分

「安全運転研修とながらスマホ」というコラムの見出し画像

社員のながらスマホを減らそうと、安全運転研修を開いたり、朝礼で注意を呼びかけたりしている会社は多いはずです。ところが「研修をした直後は気をつけていたのに、しばらくすると元に戻る」という声もよく聞きます。研修は無駄なのでしょうか。結論から言うと、研修は欠かせないが、研修だけでは走行中の一瞬の操作を止めきれません。この記事では、危険と知りながら使ってしまう実情、研修の効果が続きにくい理由、研修と仕組みを組み合わせる前に決めること、運用開始までの流れを、警察庁・JAF・米国の調査に沿って整理します。

研修とながらスマホの実情。危ないと知っていても手が伸びる

研修の中身の多くは「運転中のスマホは危ない」と伝えることです。ただ、その危険は、すでに多くの運転者が知っています。

米国の AAA 交通安全財団が2025年7〜8月に運転者2,699人を対象に行った調査(2025 Traffic Safety Culture Index)では、手に持った電話で文字を読むことを「とても危険」「極めて危険」と答えた人が91% いました。それでも、運転中にテキストやメールを読んだと答えた人は38%、送ったと答えた人は28%いました。危ないという認識と実際の行動が、別々に動いているのです。

同じ調査では、自分は他の運転者より安全に運転していると考える人が78%、自分は他の人より運転中の気の散りにうまく対処できると考える人が60% いました。米国の数字ではありますが、「危ないのは分かっている。でも自分は大丈夫」という受け止め方は、研修の場でも起こりやすいものです。

国内の調査にも、近い傾向がうかがえます。JAFが2016年6月に自動車ユーザー64,677人へ行ったアンケートでは、「運転中に携帯電話(スマホ含む)を使用しているドライバーが多い」と思う人が84.3%でした。一方で、自分は交通マナーを意識して運転していると答えた人は、「とても」と「やや」を合わせて97.4%でした。この調査は本人のスマホ使用を直接たずねたものではありませんが、他人の運転には厳しく、自分の運転には甘くなりやすいことはうかがえます。研修で危険性を伝えることは必要でも、それだけで行動が変わるとは限りません。

研修の効果が続きにくい理由

法改正と啓発には、確かに効果がありました。警察庁によると、携帯電話使用等の罰則などを引き上げた改正道路交通法が令和元年(2019年)12月に施行され、広報啓発や取締りも進んだ結果、携帯電話使用等に起因する交通事故は令和2年に大幅に減少しました。

しかし、令和3年以降は再び増加傾向にあり、令和7年中の携帯電話等使用による死亡・重傷事故は148件でした(警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」)。事故の数字や罰則の詳細はながら運転とはの記事とながらスマホの罰則の記事に譲りますが、罰則の引き上げ後に下がった件数も、その後は増加に転じたことは押さえておきたい点です。

これは社会全体の数字で、研修の効果を直接測ったものではありません。ただ、社内研修についても、研修を提供する JAF のコラムが、年1〜2回の講習や無料の資料について、一過性のもので時間が経つと安全意識が薄れやすいと書いています。研修は年に数回でも、運転は毎日あり、着信は走行中にも届きます。

研修の費用も、回数を増やす妨げになります。同じコラムによると、新入社員向けや一般社員向けの基礎的な研修は1人あたり1万〜3万円程度、指定自動車教習所で受けるブラッシュアップ講習は1人1時間あたり4,000〜8,000円ほどが目安です。同じ規模の有料研修を毎月全員に受けさせると、費用の負担は大きくなります。

研修でできること研修だけでは難しいこと
危険の理由と罰則を全員に同じ形で伝える研修後の毎日の運転で、意識を同じ強さに保つ
自社の事故やヒヤリハットを題材に考えさせる着信や通知が来た一瞬に、手を止めさせる
社内ルールの背景を理解してもらう守られているかを会社が確かめる

研修が苦手なのは「研修のあと」です。この弱みを補う手段を、研修と組み合わせて考えます。

研修と仕組みを組み合わせる前に決めること

研修室で講師が前方の画面を指し、社員たちがそれを見ている。窓の外の駐車場では社用車のダッシュボードにスマートフォンが伏せて置かれているイラスト
研修の場で学んだことを、駐車場の先の毎日の運転でどう守るかを決めておきます

研修を開く前に、次の点を社内で決めておくと、研修と仕組みがつながります。

  • 研修の目的。 JAFのコラムは、過去の事故データやアンケートから課題を抜き出し、それを講習の目的にすることを勧めています。「ながらスマホをゼロにする」より、「走行中の着信に出ない」のように行動で書くと、後で確かめやすくなります
  • 効果の測り方。 同じコラムは、講習前後のアンケート、ドライブレコーダー映像の分析、事故件数の推移、車両管理システムで検知できる急操作の変化などを挙げています。研修の前に「何が変われば成功か」を決めておきます
  • 研修のあとを支える方式。 アプリで画面操作を制限する「アプリ型」、車載カメラで検知して警告・記録する「カメラ型」(AIドライブレコーダーなど)、ルールと点呼での声かけなどがあります。どれか一つでなく、研修と重ねて使う前提で選びます
  • 停車中と通話の扱い。 停止中の使用は道路交通法第71条第5号の5の対象外ですが、信号待ちで使ってよいかは会社が決めます。信号待ちのスマホの記事とハンズフリー通話の記事で法律上の線を確かめてから、社内の線を引きます
  • 記録を見る人。 一定台数以上の車を使う事業所には安全運転管理者の選任義務があります(警察庁「安全運転管理者制度」)。誰がどの頻度で記録を見て、どう指導につなげるかを、安全運転管理者の記事の業務と重ねて決めます

研修と仕組みを組み合わせる流れ

運用開始までは、次の順に進めると無理がありません。

  1. 現状をつかむ。 社用車の台数、業務用スマートフォンの配り方、走行中に電話が来やすい部署や時間帯を書き出します
  2. 研修で理由を伝える。 手に持って通話・注視した場合は6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金、交通の危険を生じさせた場合は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金と、警察庁が示す罰則を伝えます。詳しくはながらスマホの罰則の記事にまとめています。あわせて、「なぜ仕組みを入れるのか」も研修の中で説明します
  3. 仕組みを入れる。 研修の直後に始めると、理由を理解したうえで受け入れてもらいやすくなります。対象の端末や車両を絞って試すのも一つの方法です
  4. 記録で振り返る。 前の節で決めた物差しで、研修前と後を比べます。数字が戻り始めた時期が、次の研修の時期の目安にできます
  5. 次の研修の題材にする。 記録から見えた傾向(特定の時間帯の着信など)を次の研修で取り上げると、一般論ではなく自社の話として聞いてもらえます

研修は「理由を伝える場」、仕組みは「研修のあとの毎日を支える手段」と役割を分けると、研修を毎月開かなくても、走行中の操作を抑えることを目指せます。効果は記録で確かめます。

monap での実例

monap は、業務用スマートフォンにインストールするだけで運転を自動検知し、一定速度を超えると画面を自動ロックする法人向けアプリです。乗車時のアプリ起動は不要です。

前の節で挙げた方式で言えば、monap はアプリ型の一つです。研修で「走行中はスマホを触らない」と伝えても、着信や通知が来た瞬間に手が伸びるのが、この記事で見てきた実情でした。monap は、運転者が研修の内容を覚えているかどうかにかかわらず、一定速度を超えて走行している間は画面操作をできなくします。乗車のたびに運転者がアプリを起動する必要もないため、研修から時間が経っても、仕組みの側は同じように働きます。

研修と組み合わせるなら、たとえば「研修で罰則と事故の数字を伝え、その場で monap を入れる理由を説明する」「導入後は安全運転管理者が定期的に運用状況を見て、次の研修の題材にする」という形です。研修で理由を伝え、monap で毎日の運転を支える。研修の効果が続かないと感じている会社は、まず自社の業務用端末でお試しください。

出典

  1. AAA Foundation for Traffic Safety「2025 Traffic Safety Culture Index」https://aaafoundation.org/research/2025-traffic-safety-culture-index//2026年10月14日 取得
  2. JAF「交通マナーに関するアンケート調査(2016年6月)」https://jaf.or.jp/common/safety-drive/library/questionnaire/manners/2026年10月14日 取得
  3. JAFメディアワークス「企業の安全運転研修とは?」https://jaf-training.jp/column/traffic-safety/safe-driving-training//2026年10月14日 取得
  4. 警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html/2026年10月14日 取得
  5. 警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R07bunseki.pdf/2026年10月14日 取得
  6. 警察庁「安全運転管理者制度」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/index.html/2026年10月14日 取得
  7. e-Gov 法令検索(道路交通法)https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105/2026年10月14日 取得

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